3.28
大阪「戦争法」違憲訴訟の会
半田滋さん(東京新聞)が講演
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【大阪】大阪・「戦争法」違憲訴訟の会主催の講演会が3月28日、エルおおさか南ホールで開かれ、120人ほどの市民が参加し、半田滋さん(東京新聞 論説兼編集委員)が講演した。
大阪地裁で争われていた「戦争法」違憲訴訟の控訴審が昨年12月22日に結審し、講演会は4月16日の判決を前にして開かれた。服部良一さん(原告団長)が、判決を迎えるにあたってのあいさつを述べ、冠木克彦弁護士(弁護団長)が控訴審判決を迎えて「課題と展望」と題して、原告たちが国家損害賠償請求の訴訟で主張してきたことを説明した。そして「司法は『戦争法』の違憲性の判断をしなければ損害の認定はできない」ことを強調し、さらに、裁判所が違憲性を回避した判決を出した場合の上告の是非については、当日までによく検討してほしいと述べた。
以下は半田さんの「敵基地攻撃と日米一体化」と題した講演の要旨。まさに、違憲の「戦争法」が成立したことで、先制攻撃できる自衛隊になっていく過程がつくられたことが如実にわかる講演だった (別掲)。
いま進行する
事態の本質は
この後の質疑応答の要点をまとめてみた。
@南シナ海の緊張に対してどうすればいいのか。(戦争に巻き込まれるのはイヤ、を明確にし、今こうなっているという情勢認識を共有し、世論形成をはかる。それを市民運動と選挙を通して広げていく)。
A香港・台湾と中国の関係は?(起きている問題は中国がまいた種だ。中国による平和統一は無理な状況だ。では実力行使なのか。それは理不尽だが、米国が中東に力をそがれている間に中国は時間稼ぎをし、かなり力をつけてきた。習近平は永久主席になる?どうなるかは予断を許さない)。
B日本の核武装はあり得るか。(核拡散防止条約、非核三原則があり、むりだ。米国は中距離ミサイルの核抜きを進めている)。
C河野太郎のイージス・アショア設置中止判断の過程は?(安倍首相は、設置は閣議決定だと繰り返し言ったが、河野さんは行革担当として、制服組を連れていって無駄を省くための談判をした。ブースターの落下地点のことは理由に使っただけだと思う)。
D日本政府も米軍も日本を守らない。それでは誰が守るのか。(難しい質問だ。自衛隊は朝鮮戦争の時に米国の指示でつくられた。必要最小限の実力としての自衛隊。実戦経験のない自衛隊に本当に戦争ができるのか。国民が自衛隊に期待する第1は災害救助であり、国防ではない。役に立たない武器の爆買いで国民の意識は自衛隊から離れていく)。
E背広を着た関東軍【軍事に関心のある政治家や制服組】は中国と本当に戦争する気なのか。(彼らは、核武装能力や敵基地攻撃能力を持っていれば、抑止力になるとナイーブに信じている。手の内がわかれば抑止にならないのに。東日本大震災で、日本は攻撃されたら弱い国だということが知られてしまった。海岸沿いに54基の原発のある国、一発のミサイルで終わりだ。戦争するとなればやるだろう。有事になれば、南西諸島を攻撃するだろう。クリミア併合の時のロシアとウクライナの戦争は衝撃的だった。ロシアは、先にサイバー攻撃でウクライナの防衛網を破壊した。ウクライナは携帯を使って連絡を取り合うと、そこに偽情報を流し、ウクライナ軍を一カ所に集結させ、そこを一挙にミサイル攻撃した。米国は、自分たちには真似ができないと感嘆したという)。
F思いやり予算は、5兆3000億円の防衛費の中に入っているのか。(防衛費は、人件費・武器装備費・一般物件費は4対4対2で、思いやり予算は一般物件費の中に約2000億円が入っている)。(T・T)
半田 滋さんの講演から
南シナ海・インド洋での
緊密な共同作戦を軸に
政治案件の
兵器爆買い
安倍首相は辞任に際し、敵基地攻撃能力の保持について次の内閣でもしっかり議論してほしいと述べた。次の内閣に宿題を課すこと自体異例のことだ。菅内閣は20年12月の閣議決定で、@陸上イージスシステムを、2隻のイージス艦に搭載し自衛隊が保持する、A12式地対艦誘導弾能力向上型スタンド・オフ・ミサイルを導入する、この2点を決めた。スタンド・オフ・ミサイルとは、政府の説明によると、日本を攻撃しようとしている敵のミサイル射程圏外から、自衛隊がそれらの敵を攻撃することができる兵器のことであり、敵基地攻撃ミサイルのこと。ようするに、“長距離巡航ミサイル”を意味している。
秋田県新屋と山口県萩に設置するはずだった2基のイージス・アショアの導入は、2017年12月に閣議決定されたが、防衛省の要請によるものではなく、安倍首相が同年2月にトランプ大統領との会談で、購入を約束したものだった。これは世界でも日本だけであり、初期投資4664億円、迎撃ミサイル購入費を含め8000億円以上。安倍政権はF35戦闘機、オスプレイ、滑空型無人機「グローバルホーク」などを爆買いし、兵器のローンの2020年度時点での残高は1兆6069億円に上る。これらの兵器購入は政治案件であり、「導入ありき」であり、国防上の必要性から決めたものではない。買ってから何に使うかを考えるわけだ。
使い道は後
から考える
そのため、国内の防衛産業に払うカネがなく、支出年限特例法(2015年3月)が19年3月に期限切れを迎えたため、国会で24年3月まで延長した。イージス・アショア関連予算は、19年度防衛費では2基の取得費などに1757億円で、すでに196億円を米政府に支払い済みだったので、配備断念すれば、支払い済みのカネは没収され、さらに違約金支払いの可能性もあった。そこで防衛省はイージスシステム搭載艦を2隻新規建造することに。陸上イージスのレーダーは洋上イージスのものより大きいので、性能を低下させないためには大きいままでないといけないと米国に言われ、陸上イージスの大きさに合ったイージス艦が必要になったというわけだ。このイージス艦建造費は1隻2400億円なりだ。米海軍仕様ならサイズは変わらないが、防衛省は米海軍と同じレーダーを使用しないからだ。
日本は、米国の衛星コンステレーションに参加することになっている。統合防空ミサイル防衛構想(IAMD)というもので、地球の上空に1200基の人工衛星を打ち上げ、上からどの角度からでもミサイル施設や発射台の位置、飛行するミサイルを追尾できるシステムで、基地攻撃計画の中心的構想だ。スタンド・オフ電子戦機の保有、スタンド・オフ・ミサイルの取得、国産スタンド・オフ・ミサイルの開発、島嶼防衛用高速滑空弾の研究にそれぞれ予算がついている。
さらに、「いずも」型2番艦「かが」の空母化、つまり「いずも」型を2隻とも空母化し、飛行甲板を耐熱塗装し、F35Bを安全に運用するため艦首形状を四角形に変更し、ヘリコプターを搭載できる。
敵基地攻撃
能力は難題
イラク戦争で米英軍は、イラク軍の保有していた80台のミサイル発射機のうち、46台を空爆で破壊したが、それでもイラク軍は18発の弾道ミサイルと4発の巡航ミサイルを発射した。世界最強の米軍をもってしてもすべての発射機を破壊することができなかった事実は重い。敵基地攻撃には、適時適切な情報が不可欠であり、移動可能なミサイル発射機の位置を特定するために、監視役の人物から情報を得る。つまり、スパイの存在が不可欠。
日本の情報収集体制は、1日に1回程度の割合で例えば北朝鮮上空を通過する情報収集衛星による画像情報(動画によるリアルタイムの情報ではなく)を収集しているが、画像情報では現在位置を掌握することは困難である。香田洋二氏(元自衛艦隊司令官)は、敵基地攻撃能力の保有は非現実的だという。菅首相は、敵基地攻撃のための「能力」を高めながら、政策決定という「意思」の表明は見合わせるというちぐはぐぶり。既成事実化をはかろうとしているのであろう。
インド洋まで
「防衛範囲」か
自衛隊の警戒・監視の範囲は、北は宗谷岬・南は与那国島・西は東シナ海までの防空識別圏内だ。ここには南シナ海(西沙諸島・南沙諸島を含む)やインド洋は含まれない。しかし安保法制施行5カ月後の2016年8月、安倍首相は「自由で開かれたインド太平洋戦略」を打ち出し、マラバール2017に初めて参加。2018年にはインド太平洋方面派遣訓練部隊として護衛艦「かが」・「いなずま」・「すずつき」を65日間も派遣した。地域の平和と安定のためと称して、フィリピン西方海域での日米共同訓練も実施している。
インド太平洋方面派遣訓練部隊として2018年南シナ海での初の対潜戰訓練に参加し、海水温・濃度・潮流を調査。明らかに日本の防衛とは関係がない。2019年もインド太平洋方面派遣部隊として、護衛艦「かが」・「むらさめ」・「あけぼの」が72日間参加。2020年には、インド太平洋方面派遣部隊として、護衛艦「かが」・「いかづち」・潜水艦「しょうりゅう」が参加している。
このほか、スマトラ沖で日仏豪米共同訓練をおこなっている。2020年にもインド太平洋方面派遣訓練部隊として南シナ海での2度目の対潜戦訓練に参加。南シナ海での訓練は、米軍の「航行の自由作戦」に基づくものであり、中国海軍の艦艇の行動を制限し、中国が対潜戦を余儀なくされるようにし、中国海軍の戦力をそぎ、九段線内の内海化を防ぎ、「一帯一路」の妨害を狙ったものだ。西沙諸島の西には中国海軍の海南島基地がある。
緊迫が深まる
南沙諸島海域
南シナ海は緊迫している。2019年中国軍は本土から南島海に向け弾道ミサイル6発を発射した。20年7月米国は空母「ロナルド・レーガン」と「ニミッツ」が2回にわたって共同訓練を実施、8月中国は浙江省から「空母キラー」こと対艦弾道ミサイル「DF21D」を2発、青海省から「グアムキラー」の異名をもつ「DF26」を2発発射した。それぞれ、南シナ海の海南島と西沙諸島の間に落下。バイデンが米大統領選に勝利しても、米国の対中政策に大きな変化はなかった。米中対立の南シナ海に海上自衛隊は護衛艦や潜水艦を恒常的に派遣している。これは、けんかを買って出る行為だ。もともと密だった海自と米海軍の関係は安全保障法により一層密になった。日本は国会で南シナ海やインド洋で実施している海自の訓練について論議する必要がある。(講演要旨、文責編集部)
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